FLY WITH THE GOLD!

黄金を抱いて翔べ。観て参りやした。
ハードボイルド。カラリとはしてない。
脛に傷を持つ男達が翔ぶ夢を見る。

個人的感想。ネタバレ有〜。

とにかく浅野さんがいっちゃってて最高でした。爽快なぐらい。
モモは最初のうちは「わわ。少年出て来たどー!」とどうしても思っちゃいましたが暫くしたら落ち着きました。(私が)

観ていてこれは黄金を獲得するための道行きじゃなくて何もかも失くすための道行きのように思えて。
しかし元々死んだように生きていた彼ら。なので正しくケリを付けていくための道行きと言えるのかも、と。

観客が想像する余地が十二分に残されている作りで。人によっては残され過ぎと感じるかも。
登場人物が説明的台詞を吐くようなのは私も阿呆らしいとは思いますが。登場人物が今(色んな今があるけど)に至る過程をもうちょっと映像で見せる手もあったかとも。

原作は読んでないけど。襲撃の場面に集約されて他は相当削ぎ落とされてる模様。撮った後カットしたかそもそも撮らなかったのかわかりませんが。そもそも時間の制限がある中で、メインに据えたいのがそこだったということかな。

原作では幸田とモモはできちゃってるとか?映画ではそのようには描かれてません(別にそれでいいのだが)。また二人がお互いに関する長い台詞を交わす場面もありません。
幸田とモモが関係性を深める過程の描写がもっとあった方が良かったのかな…?と考えたところで。

教会の中で幸田がモモが食べたいと言っていた鯖寿司を食べさせるシーンがフラッシュバック。(これは深める過程ではなく深まった結果ではあるけど)

幸田が必死に引っ張りだした鯖寿司を手掴みでモモに食べさせて。モモは深手を負った苦しみに喘ぎつつも幸田が口に入れた鯖寿司を頬張り呑み込みます。(えーもう死にそうなのに?ダイジョブカ!と観ていたときは思ったのだけど)

このシーンが全てなのだと悟ったとき涙が止まらなくなった。観てるときじゃなくて後でなんて初めてかなあ。何かヤラレタ!という感じ…。

相手が一番欲しがってるものをあげてそれを受け取る。という愛情の交歓。私は別の形で行うけど。その感情を呼び起こされたような。

食い足りないところがないかといえばある気もしつつ。忘れられないシーンが出来たせいで忘れられない一本になってしまった(しまった?)ように思います。うむ…。